白山高山植物園について
一年に一度、お花畑が見頃になる1ヶ月半の間だけオープン。それが<白山高山植物園>です。
白山の眺望がすばらしい西山(標高857m)の山頂近くにあります。
ここは昭和のパイロット事業(養蚕)で雑木を切り開き、その後放置され、ハゲ山となった場所でした。
このような場所に果たして高山植物は育つのだろうか?
もう少し環境の良い場所はないのか。ここではせっかく育てたものが全滅するのではないか。
そんな意見があったことも事実です。
しかし、人工的に栽培された高山植物が、低地の自然状態で、かつ過酷と思われる環境の中でどのように育つのか。
研究の応用的な活用(自然災害や人為的なによって喪失した植生の復元など)を目指すためにもどうしても
行わなければならないことでした。
結果は、驚くべきことに、多くの高山植物が活着。
そして現在7600㎡の山腹に約50種類10万株の白山の高山植物が育つまでになりました。
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もちろん、ここまでには数々の失敗があります。
環境が環境なので、移植しても育たない植物、思うように成長しない植物も多数あります。しかしながら、野生植物のたくましさ、もともと過酷な地で生きる白山の高山植物の生命力の強さ、そして何よりその可憐さには心を深く動かされます。
2008年6月、はじめてこの移植先を「西山高山植物馴化試験地」として2日間の日程で一般公開いたしました。あいにくの雨、遊歩道もないぬかるんだ道にもかかわらず1000人を超える方々が訪れてくれました。訪れた方々からは、
「白山のお花畑をこんな場所で見られるなんて」
「白山にはもう登れないから来た。またお花畑を見ることができて嬉しい」
「よくここまで育てた」
「絶滅危惧種を含め保全していることは意義深い」
「市民の財産として大切にしてほしい」
など多数の感嘆と感激の声が寄せられました。
この想像以上の反響に励まされ、公開後は試験地を段階的に拡大。新たに手づくりの遊歩道も整備し、より多くの方々にご覧いただけるよう体制を整えました。
それに伴い、「西山高山植物馴化試験地」の名称を2010年には「白山高山植物園」に変更。親しみやすく、覚えやすくすることで、多くの市民の皆様にこの事業の存在を知っていただくように致しました。
今シーズンも多くの方々が
「今年も来たよ!」
と元気に登山道を上がってきてくださることを心からお待ち申し上げております。